性病は初期症状が無症状のものもあり、気づかずに放置しておくのは非常に危険です。国内で感染者の多いクラミジアや淋病など、また、その治療方法についてもおさらいしていきます。性病感染にはくれぐれも注意しましょう。

アンピシリンってなに?ペニシリンとの違いは?

アンピシリンってなに?ペニシリンとの違いは?
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薬学部の学生が、一番勉強に苦労するのが抗生物質です。それは、膨大な種類と覚えきれないほどの商品名があるからです。
抗生物質を大きく分類すると、βラクタム系とそれ以外に分けられます。βラクタム系には、ペニシリン系、セフェム系、カルバペネル系などがあります。

ペニシリンは、1928年にイギリスのフレミングが発見した世界初の抗生物質で、ペニシリンGと呼ばれているものです。
ペニシリンGは、分類上はβラクタム系に属します。フレミングが発見したペニシリンはアオカビ培養液から精製したもので、天然ペニシリンです。
ペニシリンは天然ペニシリン以外に生合成ペニシリン、半合成ペニシリン、合成ペニシリンがあり、これらをひっくるめて「ペニシリン」と呼んでいます。

フレミングがペニシリンを発見したことで、人類は細菌との闘いに勝つことができ、多くの命が救われました。
しかし、細菌も次第にペニシリンに対して耐性を持つようになってきました。細菌と抗生物質のイタチごっこが始まり出したのが、1960年頃からです。

アンピシリンは、日本では1965年に発売が開始された抗生物質です。ペニシリンと同じくβラクタム系です。
βラクタム系の抗生物質の特徴はβラクタム環という構造を持っていることです。このβラクタム環に細菌を殺す作用があります。
アンピシリンはペニシリンGにアミノ基という構造が付いたものです。ここが、ペニシリンと違います。そしてアミノ基が付いたことで、グラム陰性菌も有効になりました。
ペニシリンGはグラム陰性菌には効かなかったので、これもペニシリンとの違いです。

グラム陰性菌にも有効な抗生物質が出来たことから、今までは手をこまねいていた病気にも太刀打ちできるようになりました。
そしてペニシリンGでは耐性菌が出来てしまって効かなくなった菌にも対処できるようになりました。
アンピシリンは耐性が大きい緑膿菌には効果がありませんが、グラム陽性菌、グラム陰性菌、大腸菌、肺炎球菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、サルモネラ菌、赤痢菌など多くの細菌に対して有効です。
また、淋菌や梅毒トレポネーマにも有効です。

アンピシリンの耐性機構などを詳しく解説

細菌は抗生物質の攻撃によって負けてしまったとしても、それに対抗する策を考えて、次からは同じ攻撃を受けても自分たちを守ろうとする賢い機能をもっています。このようなメカニズムを耐性と呼んでします。
この耐性が出来てしまうと、次からは同じ抗生物質を使っても効かなくなってしまいます。
細菌と新しい種類の抗生物質がイタチごっこになっていると言うのは、このような状態だからです。

耐性ができる原因の1つに、細菌が抗生物質を分解して不活性化させる酵素をもつ耐性機構があります。
βラクタム系抗生物質はラクタム環という四角形のーCONH-の構造を持ちますが、このラクタム環を壊す耐性機構ができると、抗生物質が効かなくなります。
このようなメカニズムをβラクタマーゼと呼んでいます。
しかし、たとえ細菌がβラクタマーゼを持っていたとしても、βラクタマーゼを阻害できる薬があれば、βラクタム環は壊れません。そして、耐性はできません。
抗生物質は細菌を攻撃して退治することができます。
そこで、βラクタマーゼ阻害薬を配合したペニシリンが次々に開発されました。
ペニシリンGに対しては耐性を持ってしまった細菌にも効果を発揮し、多くの命が助かっています。

1980年代以降の日本では、ペニシリンGが使われることはほとんどなくなりました。多くの細菌がペニシリンGには耐性を持ってしまい、もう効かなくなったからです。
現在はもっぱら、このアンピシリンやセフェム系という種類の抗生物質やニューキノロン系という種類の抗生物質に主座を明け渡しています。
現在、アンピシリンは、中耳炎や副鼻腔炎、扁桃炎のような耳鼻咽喉科の感染症、腎盂腎炎や膀胱炎などの尿路感染症、淋病や梅毒などの性感染症など、基本的には緑膿菌以外の、人が罹るほとんどの感染症に対応できる抗生物質として、臨床で広く使われています。

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